第 11 号 |
入塾して はや7年 |
経済立国を目標に競争社会の中で、効率化・便利さ・快適さを追求してきたわけですが人間性の本質は無視され続けた。富の中に環境が含まれることも無かった。その根底には人間と地球は別物であり人間は人間だけでやっていけるという人間の傲慢さがあった。個人の尊重、人間の確立はいつも後回しになり20世紀末日本を含めて近代文明は、地球・自然との共存「共に生きる」ということに行き詰まってしまった。その危機を救済しうるのは近代文明をささえてきた競争・対立・力ではなく共生・調和の原理ではなかろうか。ここでいえるのは決して過去の良き日に戻れということではない。今を生きるための新たな理想を創造する人間になり個性を生み出す活動をし次世代へ伝えていきたい。 今日、世界各地で様々な問題が出ていることは皆様もご存知のことでありますが、地球温暖化・人口増加・拡大を続ける砂漠化問題等の環境問題や先進諸国と発展途上国との貧乏の差・民族紛争・世界経済不況など列挙すればきりがない。日本国内においても政治不信・不良債権問題・高齢化問題・家庭問題・青少年問題・・・・・・。 これらの諸問題を誰の問題でもなく自分の問題と考えれば行動は今からでも起こすことができる。テーマは何でもよいから問題に取り組んでいくことが自分の仕事であり役割であり役割であるということを平成5年(1993年)3月のあるセミナーで学んだ。 しかし、前述のことは到底一人では成功し得ないことであり真剣に討論する場を築くこともできず松下幸之助のいう素志貴徹に欠けかけたとき、大和田塾頭から四国政経塾の構想を聞き「地域から日本を変える」「四国から日本を変える」をスローガンに草の根活動をしていることを知り、私も四国政経塾準備委員会参加するようになる。 特に平成7年度は、四国四県講演会リレーや韓国の機会の学塾との国際交流等を行った。 講演会リレーでは、松下政経塾・京都政経塾の諸先輩の方々に公園をして頂いた後、有志の方と準備委員会を行い四国政経塾の意義について討論しあったことは昨日のことのように思い出します。質問の中に「四国政経塾は、政治家のつくるところですか」「政治・経済を勉強するところですか」と、なかなか意義を理解してもらえず苦労した。決してそんな学校のようなものではなく、「四国政経塾は年齢・学歴は問わず、地域から日本を変えるには自らが変わることであり、自ら変わるには出会いのためなら自ら一歩踏み出して出会いの場を作り人と知り合い、お互いを認め合いながら共存共栄できる世の中を築くことを目的としているボランティア団体である」ということを何度も噛み砕いて討論した。 国際交流では、韓国の各界の先生との出会いがあり、私の固定観念を打ち砕くものであり広範な視野と深い洞察力をより一層身につけることができ、日本にないものが韓国にはあり学ぶべきことが各分野において数多くあり討論に余地はありませんでした。 幾度の講演会、準備委員会を行い危険に恐れない行動が如何に必要か体験できた。その基本は、確固たる「志」をもち続けることと、固定観念を打ち砕き、豊富な情報により自由な発想を生みだせるところが四国政経塾といえる。 平成10年(1998年)には、大和田塾頭の韓国との交流5年目を迎えるほか塾生の中で「教育問題」「託老塾(老人問題)」「主婦のゆとり」「町の活性化問題(町並み)」「土と自然環境」等、各人テーマを研究・調査中である。 平成12年(2000年)には、四国政経塾の教室も完成し塾頭の自宅あるいはホテルの片隅での活動と打って変わって立派なものになり、6月には韓国トラスト現代舞踊団による伊予三島・松山公演を開催する。開催するに至っては後援・協賛して頂いた地元の多大なる協力と一般市民の参加があっての成功であり伊予三島・松山が韓国との文化交流の懸け橋になった。塾生にとってもチケット販売から始まり宣伝・準備・進行・補助等様々苦労は多かったが、何より市民参加の意義をより身近に学習できたことが本当に良かった。 例えば、都市計画は、従来はごく少数の官僚・政治家が公益を優先し中央集権的に情報・権限を集め個人の利益は私利私欲として無視され続けた。一方街づくりは、個人個人の行動により利益をお互いに認め多くの賛同者を得、公益化できるように行い最終的に市民の利益となるよう活動していくことが重要である。決して上意下達方式であってはならない。私たち市民の身近な生活環境である地域から全体を見る眼をもたなければならない。学校では知識だけでなく柔軟な価値観を持ち、他の人と話し合い調整できる知恵が必要であることを再度学んだ。 平成13年(2001年)には、韓国版松下政経塾“機会の学塾”との交流も5年目を迎える。11月には、愛媛県知事の奥様加戸道子さんに第1回福祉講座「今後の介護福祉のありかた」について講演して頂く。 今世紀は、前世紀の成長至上主義の終焉により、低成長・ゼロ成長・マイナス成長を前提とした国債発行抑制・不良債権処理・余剰企業清算・医療改革・特殊法人整理など各分野において「聖域なき構造改革」の影響により景気悪化、失業率の上昇がさらに進むと予想されますが、昨年は、世界同時に不況、IT不況、米国テロ、狂牛病ならびに各界の不祥事が当たり前のごとく報道されているが時代が多様化していく中で自分さえ良ければいい風潮が顕著になってきている。諸問題の根源は人間が作ったものであり基本的には解決できるものであるが問題先送り状態で中途半端となり、人間の根本的生活までも危うくなってきていることを認識しなければならない。 市民より目覚めよ!一人一人が新しい志を持ち、ニュー・ディールをおこす姿勢があれば行動に移すことが大事である。いきなり現場に行き実際にやってみてもいい。四国政経塾に足を運ぶだけでも物の見方・考え方が変わってきます。各人、知識と知恵を思う存分発揮できる場をすでにお持ちで活用されている方、ボランティア活動に参加している方、興味のある方、学生諸君!扉を叩いてみてください。 最後に、入塾して、はや7年が経過したがひとつの出会いから知恵が生まれ志がより一層明確になり強く願うようになり自ら見、聞き、行動し、懸命に努力を重ねることができる。知恵がでてこなくても懸命な姿は、人を感動させ思わぬ知恵や援助が磁石に引かれるように集まってくるものです。四国政経塾は、人の道を聞き生きがいを生み出せる場ともいえる。 |
平成14年2月 |
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