第 127 号
九州「須永博士先生」「深田 心の小径」を訪ねて
 平成19727日(金)〜28日(土)の2日間、九州熊本県及び大分県臼杵市へ向いました。今回の九州入りの目的は、今年2月に立ち上げた株式会社テック仲通の主要事業の一つである生分解性樹脂原料(PLA)の新しい展開の可能性を探ること。そしてもう一つは、心温まる詩の中に優しく、また時には厳しく心に訴えかける詩や絵画などを書かれている詩人「須永博士」先生を尋ねること、そして大分県臼杵に開設された深田心の小径を探索することです。

 初日は事業展開に向けての商談でありましたが、PLAの緩衝材分野への可能性について相談致しました。まだまだこれからの分野のようで、課題も多くあることが先方のご説明でよく理解することが出来ました。あくまでもビジネスでありますから技術的内容と価格帯の問題等、今後検討すべき課題も多々ありますが、このPLA事業は価格・品質・特性などの問題でなかなか前に進まないのが現状ありました。しかし今回の訪問で事業展開の糸口を探る新たな入り口に辿りついた様に思います。これからの企業が担う大きな役割の一つに環境問題への取り組みがあると思いますが、我々と致しましてもPLA事業は決して即効性のある事業でないことは十分認識しておりますが、事業展開の意義を再度理解し、企業の担う役割をしっかりと見つめ社会貢献を忘れずに取り組んで行きたいと決意を新たに致しました。

 2日目は四国政経塾ではすっかり有名なのですが、熊本県阿蘇郡小国町にある詩人「須永博士」先生の作品館へと向いました。なぜ四国政経塾で有名かと申しますと当塾の大和田塾頭が以前より須永博士先生の詩を大変好まれており、以来何かと話の中に須永先生の詩が出てくるからなのです。また、塾事務所内にも須永先生のパネルが飾られておりますので、当塾では須永先生はすっかり有名人と言うわけです。当日は幸運にも須永博士先生ご本人がサイン会を行っておられました。塾頭からこれまでの経緯と四国政経塾の内容についてお話をさせていただき、先生のお話を聞かせていただきました。先生は若い頃会社員を辞め一年半ほど閉じこもった後に、自分の生き方を真剣に模索し画家と詩人になることを決意して世界各地へと旅を続けておれます。旅で出会った人達とのなかで先生の作品は生まれるのだそうです。癌で床に臥せている娘さんを看病している母親のお話では、娘さんが亡くなる直前に最後の力を振り絞り「おかあさん」と40回言って亡くなったと聞きました。先生は「人間は本気を出せばなんでもやれる」ことを教えられたとおっしゃっています。お話から状況を想像し目頭が熱くなりました。また同時に自分自身がまだまだ本気になりきれていない気がしてなりませんでした。お話を聞きながら自分自身が本当に真剣に人生を歩んでいるのか?!再度問い聞かせるよい機会となりました。当日は何かとご来客でお忙しい中を、先生自らアトリエをご案内いただきました。そこはスポーツ施設に隣接しており、山の斜面に建てられた真っ黒い建物でした。中は作品の山で囲まれていましたが、窓枠がスライド式で全開できる仕組みになっており、風景がひとつの作品になっていました。実に美しい風景ですが、設計は全てお任せ、出来上がった建造物が真っ黒い要塞になっていたと笑ってお話されていました。真っ黒い要塞とは言いますが、威圧感は無く自然の中に上手く溶け込み、何かしら懐かしさを感じさせてくれるとっても素敵なアトリエでした。その後美術館をご案内していただき、娘婿である佐藤さんに館内をご案内いただきました。美術館には先生の作品の原画などが沢山展示されており、非売品である貴重な作品も見ることができます。道の途中にありますが、看板が一目で目に入り民家を上手く改修し自然と調和した美術館でした。先生に是非詩を書いていただこうと、作品館にもう一度引き返しました。私は娘に詩を書いていただきました。そっと机の上に置いて見てくださいとのお話で、私自身娘のことで不安に思うこともあったのですが、先生の詩を見ながら本当に心温まる思いで一杯になりました。実に優しい言葉で本当に心の支えになるような詩を書いていただき有難う御座いました。以前から須永先生の詩は何度と無く触れ合ってきましたが、実際にお会いしお話を聞くことで、ますます須永先生の魅力に引き込まれていきました。飾らず懸命に生きる先生の生き方は、現代の日本人に忘れ去られた優しさとゆとりを感じます。日々の忙しさの中で何かしら大切なものを見直すことが出来た貴重な訪問であったと思います。先生のお持て成しに心より感謝申し上げます。

 須永先生の作品館を後にし、大分県臼杵市にある「深田心の小径」へと向いました。これは臼杵市と当政経塾顧問でもあります小野晋也代議士が検討を重ね出来上がったもので、先人の言葉を石に刻んだ石碑が公園内に設置されています。臼杵へお越しの際には是非皆さんも一度ご覧になられてはいかがでしょうか?国宝でもある石仏像の入口にありますので直ぐにわかると思います。

        
平成19年7月28日
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