第 141 号
心の時代
 昨年12月19日〜22日の4日間、東京より国際マンダラ協会(※参照)の会長であります田中成明(たなかじょうみょう)先生が四国中央市へお越しになられました。経緯は四国政経塾顧問でもある衆議院議員小野晋也代議士が開催されている「四国人間論ゼミ」に久しぶりに参加したときのことでした。四国人間論ゼミは私の居住する新宮町に小野代議士が研修施設「ヤングリーフハウス」を建設し、そこを会場に毎月1回開催しているものです。勉強会の終わりに代議士より、人々が自然に感謝しながらウォーキングができるコースを研究しようという提案があり、その研究に田中成明先生がお力を貸していただけるとのことで、例えば四国八十八箇所をお参りした人が最後に高野山にお参りにいくが、これを終えた後に、自然の創造物(木・滝・岩・自然の風景など)に感謝しながら回るコースを新宮に作りましょう!という様なお話をいただき、八十八箇所の信仰をも超越するような、なんともスケールの大きなお話で正直イメージがイマイチよく掴めていませんでした。しかし、私はふるさと新宮にお力を貸していただける方々には、積極的にアクションを起こしたいと考えておりましたので、十分理解できないまま、とにかくお話をお伺いして客観的なご意見を吸収していきたいとの思いで、1週間を切った準備期間の中で事務所サイドとのご連絡とご協力をいただきお迎え致しました。そんな私を心配して私共政経塾の塾頭も一度じっくりと内容を聞いてみたいとのことで、初日は塾で色々と今回の構想についてお伺いさせていただき、塾にも十分ご理解を頂いたうえで、その後新宮町をご案内させていただきました。

 さて、田中成明先生はお若いときには薬師寺にて修行をされ、単身アメリカへ仏教の布教に渡られ、現在はカナダに寺院を持っておられます。仏教と聞くと私などはインド・中国などを経て日本に渡ってきたアジア諸国独特のものと考えておりました。仏教について私などが語る事など出来ませんが、恐らく、その教えは現代の万国にも共感を得るものがあるのでしょう。20数年間海外にて布教を続けてこられた田中先生には、言葉から始まり文化や考え方の違いがある海外で、言い尽くせぬご苦労もあったかと思います。お話を伺いますと、当時1年程で蓄えが底をつき、運良く就業ビザの申請がおり、現地で皿洗いの仕事をしながら布教活動を続けられたこともあったそうです。田中先生には微塵もその様なご苦労を感じさせないところが、私にはまた凄く思えました。その田中先生に4日間ご同行させていただき、新宮町をご案内しながら下見をしていただきました。行く先々で色々なお話を伺いましたが、やはり田舎のお接待のお心遣いには、田舎ながらの優しさと思いやりを感じることができました。普段なにげに生活しておりますと気が付かないのですが、東京などの都会の方々から見ると、新宮の自然豊かな風景がとても新鮮で癒されるようであります。日頃何かと慌しく流れる時間が、この時だけはゆったりと感じることが出来ました。

    

 先生とのご同行のなかで私自身が改めて知った事に、新宮町にある熊野神社の歴史があります。熊野信仰は和歌山県新宮市にあります紀州熊野権現が有名ですが、かつて古の天皇が非常に大切な場所として深く信仰をしてきたところであります。わが町の熊野神社は、今から約1200年前に紀州和歌山の熊野本宮大社を総本宮とし、大同2年紀州新宮から田邉、真鍋、三鍋氏一党によって現在地に勧請されたといわれる歴史ある古社であることを改めて学びました。また熊野信仰の四国総本山であることも知り、よくよく見ると色々な書見に掲載されており、私が勉強不足であっただけなのですが、このとき改めて自分が凄く歴史のある地域に住んでいるのだと何かしら凄く誇らしげに思えたのです。
 また新宮を回っていくと、随分とお堂や神社等が各地に沢山あることに注目しました。これらを点にして線で結ぶことで一つのルートが出来上がるのではないかということで、先ずはこれらを探索し、一つ試験的に実際に歩いてみることで次回への方向性をピックアップして今回の探索を終えました。

          

 時代は「生産の時代」から「心の時代」に変化しつつあることを田中先生と話し合い、ここに山里の可能性があるのではないかというご提案をいただきました。今までの生産の時代には、地方の人々が都会へどんどん働きに出かけ、生活の質も向上し物資から情報など、ありとあらゆる物が簡単に手に入る時代となりました。しかし、人としての喜びを現代人は心のあり方や人としての生き方に求めていこうとしています。先日ラジオ番組で近年「哲学書や人間学」についての本がよく読まれているのだという話が流れておりましたが、これも一つには「心の時代」に変わりつつあることの現れなのかも知れません。そうした時代の中で、かつて過疎として何かとマイナスイメージが多かった山里の地域が、人々が生きるための癒しを与える空間となりえることが出来るのではないかと、大いに夢を広げております。この度のご提案が地域の人々がより良く理解し、故郷を愛し誇りと自信を取り戻した時、山里の持つ力が時代の流れの中でまた一つの役割を果たすことができるのではないかと思います。また、この活動に四国政経塾のご理解を頂き、今後のご協力をいただけることも本当に力強く感謝致します。この活動は本当に始まったばかりですが、一歩一歩確実に進めて行きたいと思います。今後とも皆様方には、格別のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

    

 最後になりましたが田中成明先生はじめ、ご紹介を頂きました小野晋也先生・事務局の方々、そして色々と貴重なお話を賜りました地域の皆様方に厚く感謝申し上げます。

※ 国際マンダラ協会とは・・・(国際マンダラ協会ホームページより)

 紀元前6世紀に、釈尊の出現により仏法がインドに興り、中国・朝鮮を経由し我国に伝来され、本年で1458年になります。仏教は「科学万能」・「人間不信」・「宗教人間対立」の現代にあって、人類の危機を救う「大調和」の原理といえよう。そして、この東洋の叡知が、アメリカをはじめ欧州諸国にまで「東斬」し、人々の心に光りを与えはじめています。
 この好機到来に、釈尊仏教の再生と蔓陀羅教の普及とを願い、「国際マンダラ協会」を設立し、もって仏教興隆、天下泰平、万民豊楽の発願を致しました。

◎「国際マンダラ協会」(インターナショナル・マンダラ・アソシエーション)略称IMAは、次のような三大仏事を推進致します。

 一、釈尊誕生の地ルンビニの復興のためにユネスコとネパール王国に協力する。

 二、釈尊の正法を学修し、全世界にこれを弘通する。

 三、仏典を世界語に翻訳し、これを普及する。

※ ルンビニとは:
釈迦が誕生した地。
         ネパール西南部のタライ盆地に位置する仏教四大聖地の一つ。

 以上の目的達成の為に「国際マンダラ協会」を設立し、諸々の活動を進めていきたいと願うものです。
平成19年12月22日
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