第 146 号
希望の島フォーラム
 平成20216日に、大和田塾頭他、塾生三名で上島町弓削島に行って来ました。今回、この瀬戸内海に浮かぶ人口8000人ほどの小さな島を訪れたのは、兼頭一司氏(愛媛県西条市丹原出身・松下政経塾26期生)より、大和田塾頭に“財団法人松下政経塾”と“えひめ地域づくり研究会議”が主催する「希望の島フォーラム〜僕らの地域の未来は僕らが創る〜」が開催されるという案内があった事にはじまりました。塾内で検討した結果、是非にでも参加させて頂きたいということで訪問する運びとなりました。
 また、このフォーラムは地域振興事業の一環であると同時に、兼頭氏の松下政経塾卒塾における三年間の活動成果を発表する舞台でもあり、私に個人とっては四国政経塾に入塾して以来、本塾の方々にお会いする初めての機会であるという事など…色々な意味を踏まえての参加となりました。

 上島町・弓削島は、交通手段がフェリーだけ…というかなり特殊な地域です。フォーラムへの参加について話し合った塾での勉強会でもそうでしたが、現地へ向かう道中「なぜ、兼頭氏は弓削島を選んだのだろう…」という話で持ちきりでした。島に渡り簡単に昼食を済ませた後、会場の“せとうち交流館”へと向かいました。

 会場には、地域住民の皆さんはもちろん、遠方から来られたのであろう方々も沢山詰め掛けていました。いよいよフォーラム開会され、最初に松下政経塾古山塾長より開会のご挨拶がありました。松下政経塾の設立理念や現代社会における役割について、塾での生活や活動についてなどの話のほか、松下政経塾で学んだ卒塾生の方々が日本各地の経済界や政界で活躍されている事等を伺いました。
 続いて、えひめ地域政策研究センターの丹羽氏のご挨拶と希望の島フォーラムに寄せる期待を述べた激励があり、その後、東京大学大学院教授神野氏より日本の地域経済と産業について、ご自身の豊富な学識と経験を基にした見解やヨーロッパ諸国との比較を交えての貴重な講演を聞くことが出来ました。
 次に、“双海町の夕日で町おこし”で有名となった夕日亭大根心・若松進一氏の落語を聞きました。若松氏のご自身の実体験を基にしたユーモア溢れる町おこしエピソードは、人々を笑顔にすると同時に、故郷を想う気持ちの大切さや、発想の転換一つで不可能が可能になるということ、志を持ち行動することが周囲の人々をも巻き込み事を成し遂げる原動力となることを教えてくれる素晴らしい講演でした。
 最後に、兼頭氏の活動報告を兼ねた講演がありました。上島を訪れるまで、日本各地の地方を回りながらの体験談や、上島に移住しようと決意した経緯、今後の目標を聞かせて頂きました。住民の皆さんと一丸となって日本中に誇れる、日本中の地方の手本となるような島創りをしたいと熱く語る姿がとても印象的でした。今後の活動を心より応援したいと思います。
 兼頭氏の講演のあと、小休憩を挟み講師の方々と地元の学生によるディスカッションがありました。学生たちが自分達の考えたテーマのもと島内を歩きお年寄りを訪問して聴いてきた事や、島の住民を対象に行った様々な内容についてのアンケート調査結果などを発表した後、質問や意見交換などを交えながら島の未来について考えると言った内容でした。外の世界に憧れる十代の学生の中には、都会に住みたいという意見も多いようでしたが、「不便な事も多い島の生活だけど、自然が沢山残るこの島が好きだ」という学生達の意見に、兼頭氏が上島で活動する事を選んだ答えが、少し垣間見えたような気がしました。

       

 フォーラムが閉会した後、交流会にも参加させて頂き、地元の皆さんが用意してくださった郷土料理を囲んで、講演してくださった講師の方々や松下本塾の方々と短い時間でしたがお話しする機会がありました。美味しい手料理を頂きながら、普段なかなかお会いできない様な方々と談話出来てとても貴重な時間となりました。

 今回の「希望の島フォーラム」を通し学んだことは、現在の日本経済は、戦後の高度成長期を経て安定期を向かえ、今後は過疎化や人口の減少、輸入に頼りきった食糧問題、海外への生産・製造技術の流出、発展途上国と言われてきた近隣のアジア諸国の成長などの様々な要因もあり、緩やかに下降線を描いていくであろうという現実、豊かさと利便性を追求した社会の中で地域独自の個性を犠牲にしてきたという歴史、そんな現状をもう一度見直す時期に来ているのではないかという事、今だからこそ地方の発展“地方発の経済改革”について考えなければいけないという事、そして、発想の転換が国や地域の発展に繋がっていくという事、どれも本当に勉強になりました。同時に、四国政経塾の「地域から日本をかえる」というスローガンのもとで活動する私にとって「地方の発展がこれからの日本には必要不可欠」という意見は大きな励みとなりました。今日の貴重な経験を今後の活動に生かせるよう、日々努力していきたいと思います。
平成20年2月16日
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