第 177 号
全国熊野会第4回総会に参加して
≪ 熊野信仰に学ぶ ≫
 平成21年8月27日(木)〜28日(金)の2日間、岡山県岡山市内にある岡山コンベンションセンターを会場に開催され参加させて頂きました。
 何故に熊野会への参加なのか?・・・???当然の疑問だと思います。先ずは今回の参加に至った経緯をご説明いたします。本塾である松下政経塾でも信仰に関することは大切な事として色々と研究をされています。私ども四国政経塾においても大和田塾頭も以前より、宗教や信仰に関することには大変関心を持っており、中でも日本全土に広く信仰されていた熊野信仰には大変深い興味を持っておりました。また、私の住む四国中央市新宮町にも、1200年の歴史ある熊野神社があり、かつては四国総本山として栄え、今もなお徳島や高知から信者がお参りに訪れています。地域再生の中でもキーポイントとしている場所でもあり、今の社会に失われつつある信仰心や宗教心・愛国心なるものにも通じるものとして、熊野信仰の歴史や文化的背景を大変興味深く思っていました。以前、岡山県倉敷市にある熊野神社の佐藤宮司様をご訪問し色々とご指導を頂いておりましたところ、今回岡山県が当番県となり全国の熊野会総会を開催するとのことで、全国の熊野神社の関係者が一同に集まる機会だから、是非参加されてはどうかとご案内いただいたことから、今回の参加が実現したと言うのが大まかな経緯です。

        

 さて、全国熊野会は以前から結成されていたようですが、当初は現実的な活動はあまり積極的に行われていなかったそうです。平成16年7月15日に熊野古道が世界遺産に認定されたことを受けて、別組織である熊野三山協議会との協賛により、全国熊野会(加入者総数152名)を再開されたそうです。第1回・2回の総会は和歌山県にある熊野本宮にて開催されましたが、会場への交通の利便性などの諸事情もあり、会を重ねるごとに参加者が減少してしまい、熊野会への興味と関心を深めていただく意味で、全国色々なところで開催してみてはどうかとなり、第3回は京都で開催し、今回第4回は岡山での開催になりました。参加者が減少傾向になるなか、岡山の佐藤宮司さんが熱心に働きかけ、過去最高の参加人数(73名)の熊野関係者の方々が全国から岡山へとお越しになられました。
 この全国熊野会の活動趣旨は会員相互の親睦を深め、日々敬神生活への活力にすることとのことで、堅苦しい感じの会ではなく、総会の協議事項も終始和やかにスムーズに終了しました。初日は倉敷熊野神社(倉敷市)と熊野三山美作別宮熊野神社(真庭市)を正式参拝し、湯原観光ホテル菊の湯にて宿泊し、懇親会を開催。懇親会では佐藤宮司さんの企画で皆さんが地酒を持ち込み、酒自慢と味比べなども行われ、皆さん色々なお話で有意義な時間と相互親睦を図られました。私も色々な方々とお話をさせていただきましたが、中でも熊野速玉宮の上野宮司様とのお話のなかで、神社の世界でも若い宮司不足が深刻になっているとのお話があり、新人宮司さんの中には神職としての意識の低い人もいて、戦後教育の問題や信仰心や道徳心については、神社の世界も一般社会と同じ現状だということがわかりました。

 2日目は国宝の吉備津神社を見学・正式参拝し、昼食をとったのちに岡山市内に解散というスケジュールでした。
 神社関係者の世界は私から見ると一見独特の世界観があるように思えました。神職に仕える方々はやはり神に仕える方々にふさわしく、物腰柔らかく品格と教養があるように感じました。日々敬神生活をされている皆様の綱領が、私たちの生活の中にも何か役立つヒントがあるのではないかと思いますので、ここで掲載させていただきます。

 敬神生活の綱領
 神道は天地悠久の大道であって、崇高なる精神を培ひ、太平を開くの基である。神慮を畏み祖訓をつぎ、いよいよ道の精華を発揮し、人類の福祉を増進するは、使命を達成する所以である。ここに、この綱領をかかげて向ふところを明らかにし、実践につとめて以て大道を宣掲することを期する。

 1.神の恵みと祖先の恩とに感謝し、明き清きまことを以て祭祀にいそしむこと。
 1.世のため人のために奉仕し、神のみことをもちとして世をつくり固め成すこと。
 1.大御心をいただきてむつび和らぎ、国の隆昌と世界の共存共栄を祈ること。

             

        

 いかがでしょうか?すべてを日々行うことは、私のような凡人には難しいとは思いますが、祖先の恩に感謝したり、人の恩に感謝することは出来るのではないでしょうか。
 日々の生活を送りながら、宮司さんのようには出来ないにしても、何かしら人間の力の及ばない、自然の恵みや、人との巡り合い、日々の小さな出来事に感謝し、争いなく穏やかに過ごせればいいなぁと思うのですが、いかがでしょう。

 今回の研修では、岡山熊野神社の宮司、佐藤みつゆき様には大変お世話になりました。色々とお忙しい中を十分なお手伝いも出来ず、総会スケジュールに同行させていただき、本当に感謝申し上げたいと思います。
平成21年8月28日
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