第 274 号
自由民権記念館訪問
 自由民権資料館は高知市が市政100周年を記念し、新たな100年へのシンボルとして自由民権運動を中心に土佐の近代歴史を次の時代へ引き継いでいくために建設されたものです。またその意義を現代や未来へ活かす為の歴史博物館でもあり、近代日本の歴史に大きな役割を果たした日本初の民主主義運動の歴史を学ぶことが出来ます。

 1873年板垣退助の参議辞職から、翌74年(明治7年)1月12日に愛国公党を設立しております。納税と民の参政権を要求した運動は、幾度も弾圧を受けました。第1回衆議院議員総選挙は明治27年7月1日で、実に20年間に渡り自由民権運動が繰り返されました。
 また運動の資金源ともなる立志社を創立し、新聞や民権歌謡、遊説などを行い、民衆に広く根強く訴え続けた粘り強い運動が繰り広げられています、立志社遊説は日本全国に広まりました。
 植木枝盛の遺稿「無天雑録」の中に「未来が其の胸中に在る者、之を青年と云ふ」と記していますが、自由民権運動はまさに近代日本の青春でした。しかし、青年の理想は実現せず、日本は軍事強国への道を歩み、アジア諸国を侵略し甚大な被害を与え、敗戦によって再び新しい時代が到来し、民権派の憲法草案が生かされた日本国憲法が誕生しました。自由民権運動が目指した民主主義日本の実現は、日本国憲法の理念であり、私達の理想であります。自由民権運動は歴史に学び歴史を創造するために、豊かで貴重な経験を残しています。
 再び自由民権資料館を訪れて、政治家も国民も歴史に記された先人の経験に今一度目を向ける必要があると思いました。政治は国の為にあり、国民の為にあるものですが、今の政治のあり方については、当然政治家の資質も問われますが、選ぶ側の国民にもその意識が無くては良い政治家を送り出すことは出来ない。つまり選ばれる側にも選ぶ側にも、国を思う気持ちが無ければ本当の良い国づくりはできないと思うのです。近年の政治を見ておりますと、マスメディアの影響もありますので、全てがそうだとは思いませんが、政治家も国民も互いに批評や批判することに終始しており、一人一人が役割を果たすべきとの意識が低下してしまっているように思えてなりません。難しく考えるのではなく、他人を思いやり人に親切にする。自分のことのように人のことにも気を配ったり、自分だけよければと考えるのではなく、人も自分も幸せになれるような提案をしたり、話し合うことが大切だと思うのです。
 私は常日頃より批判からは何も生まれないと思っています。互いに認め合うことから、新しい道が開けると信じております。混迷の時代と言われる今の日本の政治の在り方にも通じるものがあるように思います。是非とも政治家の皆様はもちろん、多くの方々が関心を持って今一度民主主義の原点を見つめ直し、現代に置き換えながら活かせるものがないか、一人でも多くの方が、もっと人や地域に関心を持てば、今まで以上に本当の意味で国力を持てると思います。
平成26年6月21日
目次へ