第 62 号
自然と歴史を体感した日
「高松市訪問」
 5月21日、個人的に前々から一度は行ってみたいと思いつつ、なかなか機会に恵まれなかった(後回しにしていた?) 高松市の屋島と四国村に行ってきました。

 最初に訪れた『四国村』は、四国各地の民家がそのままの姿で見事に移築、復元されており、村の中には徳島の祖谷のかずら橋や小豆島農村歌舞伎舞台、サトウキビを搾るための砂糖しめ小屋や、紙を作る為の楮蒸し小屋といった物もあり、ここに来れば四国の名所や文化が一通り見る事が出来ます。民家の屋根は萱葺き屋根で、何年かに一度は葺き替え作業も必要だろうし、大変な手間隙が感じられます。

 民家の中に入ると、古い木材と埃の混じった様な匂いがし、実際に住んだ事はないのですが、なんだかここの風景がセピア色に見え、子供の頃の記憶がフラッシュバックしていきます。確かに今に比べればその当時の生活は不便で、貧しかったかもしれません。でも昔の人が使った道具や、実際に住んでいた家屋は本当に無駄のない造りになっており、今日の様な必要以上の利便性や快適性を追求し、その結果無駄に溢れる物や情報に人間が翻弄される事もなく、現代人の様に心の渇きを覚える人もいなかったでしょう。人と自然とが共存共栄している様は『心の故郷』という言葉がピッタリではないでしょうか。


 昔読んだ、志賀直哉の小説『暗夜行路』の中で、金刀比羅宮や高松の事が出てきて、屋島の情景は「彼は松林の中の坂道を・・・」の行で描かれていたと思います。小説に描かれた場所を訪れると言うことで、私は密かに楽しみにしていたのですが、実際に見た屋島はお世辞にも賑わっているとは言い難く、その昔、この地で激しく繰り広げられた【合戦】という史実と、周りの静けさが妙にハマって独特の雰囲気を醸し出し、実に複雑な心境で遊歩道を歩いたのでした。途中入ったお土産屋のおばさんと少し話しをしたのですが、おばさん曰く「昔は修学旅行生や新婚旅行のカップルさんが沢山来てくれて、ここの通りを歩くのにも人を避けんと歩けんくらい賑わってたんよ。今じゃサッパリやけど・・・」だそうで、確かに人通りは少なく、その風景が何処かの町の商店街と重なって見えたのは私だけでしょうか。 し・か・し!! 瀬戸の海に抱かれた山上からの眺めは絶景で、そこからは、あの「セカチュー」こと、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』のロケで有名になった防波堤 (サクが防波堤で叫ぶシーンとか撮影された) も見る事が出来る・・・と、聞いていたのですが、私は方向が全く分からず、結局見つける事が出来ませんでした。(残念!!)  でもロケの行われた庵治町は、高速の高松中央ICからでも車で三十分程らしいのでオススメです。(私も行ってみたい)

 屋島を後にして、次に訪れた平家物語歴史館は日本最大のろう人形館で、四国の偉人を始め、平家の栄枯盛衰の歴史が展示されています。館内の薄暗さも手伝って、ろう人形の肌の色艶が実に生々しく、生きているかの如く表現されており、義経の奇襲攻撃で有名な一ノ谷の合戦を再現したコーナーに至っては、激しい息遣いも伝わって来そうな迫力です。アッと驚く仕掛けや、サービス精神旺盛な大和田塾頭の心遣い(奇襲攻撃かも・・・)も有って、日頃味わうことの出来ないスリリングな時間を過ごせました。(汗×10・・・)

 最後に向かったのが、郷東町にある『元気の種』というお店。(天国をつくる男)で【てんつくマン】という路上詩人が、みんなの力を借りて一本の映画を自主制作。この『元気の種』はその映画から生まれた「地球も人も動植物も全て元気にするぞー」的なお店で、温暖化ストップを一つの目標に、癒し・エコロジーグッズ・リサイクル品を販売しています。当日そのお店で、ある情報を入手!!  6月11・12日に、その【てんつくマン】が来店するそうで、来月もう一度ここを訪ねる事にしました。【てんつくマン】がどんな人で、どんな活動をしているのかは、とてもここでは書き尽せないので、次回のレポートでより詳しく書かせて下さい。

 今回の高松は時間の関係で、街中に点在する源平の史跡を巡ることが出来なかったのが非常に残念でしたが、四国村で童心に返り、屋島の美しく濃い眺めに心癒され、素晴しい一日を過ごす事が出来ました。次はゆったりと時間をとって、再度訪れたいです。
平成17年5月21日
目次へ