四 国 政 経 塾  愛 媛 大 会

 四国政経塾 愛媛大会が、平成7年8月25日えひめ共済会館にて120名程が集い開催されました。まず、四国政経塾事務局長の鈴木俊広氏より開会の挨拶があり、講演会の幕が開かれました。
 第1部は、松下政経塾の支部である京都政経塾の塾頭を務められている甲斐信好先生に講演をして頂きました。甲斐先生は、四国政経塾が四国4県で現在行っている講演会にご協力して頂いている方のお1人で、松下政経塾塾生時代の体験談と四国政経塾のあり方について述べられました。
 例えば、故松下氏から、今になってみれば当たり前のことである話「共産主義は、もうあかんで。けどな、資本主義もあかんで。今後でてくるとしたら人間本然主義やな」「経営とは、雨の日に傘をさすことや」。数十年前から先見的視野を以て、的確に時代の移り代わりゆく方向を見極め、変ってゆく姿を予見しつつ、それに対応していく街を塾生達によく諭していた話を聞くと、私も故松下氏の偉大さに驚嘆するばかりです。また、甲斐先生は、故松下氏が21世紀への最後の事業として創った松下政経塾を、PHP(PEACE AND HAPPINESS THOUGH PROSPERITY :栄によって平和と幸福を)運動の延長上にあるものと理解してほしいと述べられました。戦後、進駐軍の占領対策により、財閥指定をはじめ数々の制限が課せられ、資産没収になるほど不本意な時期に故松下氏はPHP運動を始めたあと、様々な試行錯誤され松下政経塾が設立された。そして、松下政経塾の設立目的を簡単に言えば、「21世紀の日本がどうあるべきかを研究する場と、より良い21世紀の日本を実現するための人材育成をしたい」と、云われたそうです。研修内容は、“自修自得”を基本とし、経営のコツと政治の要諦といったものを自ら体得していくことであったそうです。松下政経塾の支部である京都政経塾においては現在、「政治を良くしていくには」「地域か  ら日本を変える」をテーマとして活動しています。最後に甲斐先生は、松下政経塾・京都政経塾そして四国4県で活動し始めた“四国政経塾”甚だ拙い活動ではありますが、インクの沁を白い紙に落とすように一つ一つ地域かに広げ、仲間をつくっていきたいと抱負を述べられました。
  第2部は、第1部で講演された甲斐先生と同じ松下政経塾第3期生であり現在、学習学、政策科学をご専門にフリーの研究企画者として日米でご活躍されております本間正人先生を迎え、「地域から日本を変える」 〜 地域づくりは自分づくり 〜 について講演して頂きました。今、世界各国で景気・政治・福祉問題といった分野において様々な問題を抱えていますが、政策として「お手本」となる国はなく、もはや自国で歴史が経ても価値が変らず、むしろ高くなるような「本物」の選択基準を濁汰される時代で、自分の頭で考え自分の力で創ることがどうしても大切になってきます。国際的地域間競争の時代において、地域活性化政策が、石油機時代に考案されたものであればあるほど、新しい時代にマッチした形に政策転換を図っていくことが必要であることを理解致しました。                           また、教育学から学習学(自想・自学・自創の理念)へという研究テーマを紹介されました。教育というのは、外から働きかけられるものであり、学習とは、外からの刺激(即托)によって内から自発的に出てくるものであって、自発性の勢いを押しつぶしてしまうものであってはならない。

 (右図は、人間の脳を図化したもので、知育・体育・道徳・感性のバランスよく成長していく状態を成熟というが 自分を徹底的に磨かないといけない) 西洋医学(手術・薬投与)が東洋医学(自然治療力・事故回復力を活かす)の発想を取り入れたりあるいは、中央主導・画一主義の補助金行政が地方自治体の独想力を失わせたことは、学習学の分野に限らず自想・自学自創の理念が重要なことを示唆していると想います。
 人は学ぶために生き、人事を我がごととして受けとめ、いかに自分達が持っているエネルギーを伸ばしていくかが極めて大事なのだと思います。また、学習を地域社会に置き換えてみるコミュニケーションと右図で現すことができる。高い参加意識と積極性、広い視野、高度な知識、豊富な情報を持った仲間と語り合える地域づくりをより一層考慮しないといけません。四国の愛媛といえば○○○○と日本各地あるいは世界に訴える「本物」の情報が何であるか、強力に主張できるよう今から創っていきたいと思います。いかに、地域の独創性をたかめるかについて、国際的地域間競争の時代の中で、四国政経塾は何ができるのかをかんがえるべく、ヒントと問題提起をして頂きました。また、議論していくためのアドバイスと地域をつくっていくための8原則を紹介し、講演の幕を閉じました。
   《 プレーン・ストーミング  CLEAR方式5原則(練りあい) 》
       1.CREATIVE   創造する
       2.LINK       繁げる
       3.ENCORREGE  どんどん出す
       4.AGREE      否定しない
       5.RECORD     記録する
   《 地域をつくっていくための8原則 》
       1.自己理解
       2.一人ひとりの努力とコミュニケーション
       3.協力と競争
       4.長期的・視野的・根本的視点で考える
       5.多様性の尊重
       6.資源の発見
       7.人間の全体性・可能性を考える
       8.継続と生成発展
 講演後、四国政経塾塾頭と愛媛支部長を業務されておられます大和田良夫氏をはじめ有志20名が集まる中、四国政経塾準備委員会を行いました。参加者は非常に熱心で、目を輝かせ、独自の考えを踏まえて講演の感想を述べられたり、各地域の問題を定義して頂いたりと、素晴らしい考えをお持ちの方がおられ感心させられました。四国政経塾は「地域から日本を変える」には、まず人からだと考える。人を変えるには人と知り合い、出会いのために自ら一歩踏み出し、出会いの場をつくり人と知り合う。お互いが認め合いながら、共栄共存できる世の中を築けるように活動していくことを目的としております。今後は、テーマをより具体化し講義と討論を各支部で繰り返し行う事で、四国政経塾の活動も本格的になってきます。
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