初の韓国訪問 * 『機会の学塾』との交流 |
10月7日から9日までの2日間、私はかねてより念願の夢であった韓国への訪問を果たすことができました。 きっかけは忘れもしない9月の初旬。塾生の高橋さんからのお誘いでした。彼の口から「韓国へ留学してみないか?」という言葉が出たときは仰天しました。突然の事でしたので正直頭が混乱してしまいました。自身の将来のこと、家族のこと、日韓関係のこと、などなど様々な考えが頭をよぎりました。というのも私には韓国に対して強い思い入れがあったからです。 1年半ほど前、私はオーストラリアに短期間の滞在をしていました。しかし、残念ながら私はあまりオーストラリアに馴染むことができず大変難儀な滞在生活を送っていました。そんな折、私に手を差し伸べてくれたのは現地人でもなく、日本人でもなく、韓国人の方々でした。私のオーストラリアでの思い出のほとんどが韓国人とともにありました。楽しいことも悲しいことも私は韓国人の方々と分かち合っていました。オーストラリアで出会った韓国人たちは、皆とても情に厚く開放的で前向きな姿勢と明るさを持っていました。私はそんな韓国人が大好きでした。 私にとってとても興味深かった点は韓国と日本の文化や言語、習慣が驚くほど似通っていたことです。考えてみれば韓国は地理的に最も日本に近く、歴史的にも大変密接な関係だったのだから韓国人が日本人と文化や性格が大変近いのも納得できます。今思えば私が韓国人と大変親しくなれたのも至極当然の話だったのかもしれません。 私は韓国の友人たちに「そのうち韓国語を勉強する」「日本に帰ったら韓国に必ず行くから」と口癖のように何度も話したことを今でもよく覚えています。そして、それが容易ではないことも同時に理解していました。帰国後、私は仕事に就き日々せわしく暮らしていました。私は働いているうちに韓国語の習得はおろか韓国訪問すらも半ば諦めていました。そんな中での高橋さんからの紹介。信じられない僥倖でした。 その後、大和田塾頭から『四国政経塾』の姉妹塾である韓国『機会の学塾』との交流促進のための語学習得と『機会の学塾』をはじめとする韓国の方々との人脈づくりが6ヶ月の研修の趣旨であるという説明を受け、私はもちろん快諾させていただきました。かねてからの夢であった韓国留学へこれ以上ないような条件で挑戦させていただけることになるとは。とにもかくにも、不思議なご縁もあったものだと本当に驚嘆しました。そして、行くからには辛酸を嘗めても挫けず精進しようと思いました。 10月7日、私の留学の件も含めて私たちは韓国の釜山へ参りました。月並みな表現ですが、初めて韓国を訪問する私にとっては何もかもが珍しく見るもの全てが新鮮でした。ハングル文字の看板群、軍服を着た若者、細長いビル、右ハンドルの車、レトロな町並み、町の至る所に掲げられた国旗、マンションの上の青いタンクなどなど挙げたらきりがありません。数分車窓から外を眺めるだけで日本では見られないものが見ることができる。そんな当たり前のことに感動しました。しかし、そんな中にでも、道路標識、会社の内装、歩行者の服装など日本との近さを感じさせるものも沢山あったのも大変印象的でした。移動時間だけでも色々な発見があるということは、実際に滞在生活を始めたらさぞや驚きの連続なのだろうと期待が膨らみます。 そして8日には、そう遠くない未来、自分が毎日通うことになる『機会の学塾』に訪れました。その日は学塾23期生の最後のクラスルームで、ユウ塾主や大和田塾頭のしめの挨拶がメインでしたが、その中で24期生として入塾予定の私の紹介もあり、私からも皆さんにご挨拶をするよう言われましたので、自分がオーストラリアで韓国人から大きな御恩を受けたこと、これからの研修への期待などを緊張しつつも話させていただきました。嬉しいことに話し終えたあとユウ塾主からお褒めの言葉を頂きました。 クラスルームには塾生OBも沢山来られていました。その中に自分がこれから半年間お世話になるホストファミリーのクーミョンジュン夫妻も来られており、私の緊張に拍車をかけました。夫妻とも塾のOBであること、釜山市の郊外で生活していること、夫婦・息子・娘の4人家族で息子さんは日本語を少し話せることなど、色々な話を伺いました。会ったこともない人間を半年もの間、無償でホームステイさせていただけるというご家族のご厚意にも私は感動と感謝をおぼえました。他のOBの方も23期生の方々も私に対して大変温かく接してくださり、私は正直ホッとしました。これならこれから半年間安心して生活できるという安堵を実感しました。 それにしても、これほどまで人情に厚く礼を尽くす儒教国の韓国と調和と思い遣あふれる神道国の日本が 、歴史的に見て世辞でも幸福とはいえない関係にあったことが残念で仕方ありません。 私も歴史や政治に興味があり自分なりに思うことは沢山あります。日本では政権が交代し、未知数ではあるものの政治や社会が変化していく中、我々若い世代がこうして日韓の交流に関わるのは大変意味深いことではないでしょうか。言語の壁が唯一にして最大の壁ですが日韓関係の歴史の新時代に立ち会うことの意味を謹んで受け止め、自分ができうる努力を怠らないようにしたいと思います。 最後になりましたが、今回の韓国研修を紹介してくださった、高橋さんを含めた政経塾の皆さん、そしてこれから6ヶ月間お世話になる機会の学塾の皆さんには、身に余るほどの御厚情をいただき心より深く感謝申し上げます。 まだ、様々な想いが交錯しておりますが、皆さんから与えていただいた貴重な機会と時間を有効に活用し、両塾の、ひいては日韓交流の架け橋となれるよう粉骨砕身努力させていただく所存です。本当にありがとうございます。そして、これからよろしくお願い致します。 |
平成21年10月9日 |
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