松下政経塾の研修では、特に塾是にある「新しい人間観に基づく政治経営の理念」の探求が塾生には求められています。この大命題の探求はもちろん3年や4年の在塾期間中だけで終わるものではありませんが、このテーマこそ、塾生は、始終、念頭に置きながら研修に向き合わなければなりません。
「新しい人間観」には、前述した通り、塾主が生涯かけて求めてきた人間観をよく吟味した上で、それぞれの人間観を確立させよという、塾主の強いメッセージを感じることができます。
「人間の把握こそ、もっとも大切なことである」と繰り返し塾生に訴えてきています。
人間の探求なくして「政治経営の理念」の探求などありえず、さらには設立趣意書にある「天地自然の理」を求める過程で、「政治経営の理念」も見出されていくのでしょう。人間への深い洞察、そして、素直な心で天地自然の理を探求するなかで、政治経営の理念を確立する。この気の遠くなるような大命題を生涯、追求し続けることが塾生の使命です。
塾主は自らが考える政治の基本的な考えを次のように提示しています。
「第一に、人間の欲望を適切に満たす政治でなければならないということ。第二に、その欲望を適正に満たしていくためには、社会生活の中に広い自由があり、高い秩序があり、そして生成発展の姿が見られなければならないということ。第三に、そういう社会になれば、おのずと職種も増えてきて、各人がそれぞれ志を得るようになり、華麗なる文化の華も開いてくると思うが、また、そのように職種を増やしていくことを十分考慮した政治を行わなければならないということである。」その意味で人間の欲望を適正に満たす政治というのは、人間の本性、本質に正しくもとづいた、いわば万国共通の政治理念と考えてもよいと思うのである。
目先にとらわれた対処療法的な経営や政治ではこの危機を乗り越えていくことはできない、たえず戦略的に物事を考えなければならないと思います、しかし、戦略の前にビジョンが、そして人間と天地自然の理に基づいた明確な理念がなければなりません。大きな転換期、危機にある時こそ、理念に立脚する大切さを塾主から教えています。「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」とは、将に、松下幸之助の経営者としての実感でした。経営のコツとは人を知り、把握し適材適所に配置する事により、社員は仕事が面白く成り、全身全霊で仕事に励み、休む事が辛くなる人作りをする事が大事ではないでしょうか。故松下幸之助氏のエピソードに、松下電器がまだそんなに大きくない時に一人の社員が営業に行き得意先で松下電器の商品の説明をし、得意先に気に入られた話を、会社に帰り、松下幸之助社長に報告すると、社員は褒められると思って居たが、逆に叱られ、社長から松下電機は物を作る会社ではない、良い人材を作る会社だと言われ、翌日社員は、社長に言われたとおり、得意先に報告に行ったそうです、良い経営は、良い人材が多く集まり、常に新しい商品開発、販売戦略を話し合い、社員全員が仲間意識を持てた時、良い経営が出来るのではないでしょうか。そうなれば、社員が会社を休む時間を惜しんで、仕事(公の仕事も含め)が出来るのでは。 |
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