松下幸之助氏の教えから=再点検して、自らの力を正しくつかむ
不況時には、それぞれが社会の現状を点検し、正しい自己評価に努めなければなりません。 誤った自己評価は命取りとなってしまいます。 松下幸之助氏は、自らを正しく掴むために「自己観照」を行うことが大切だと話しています。 自らの心を一旦外へ出してみて、その出した心で自分自身を眺め返して見るそうです。 「自分はこんなことを考えて、こんな事をしているな」と自分自身をまるで他人を見るように観察するのです。
この「自己観照」の効用を松下幸之助氏は次のように述べています。
第一に、自分の心を照らして、道理にはずれないようにする事が出来る。
第二に、自分や自分の会社と社会の繋がりが正しく認識できて、自他共栄の道を見出す事
が出来る。
第三に、自分や自分の会社と社会とを正しく評価出来るため、それぞれの時代に処する最
も適正な行動がとれる。
第四に、その結果進み方が具体的に明らかになって、誤りなく繁栄への道を歩む事がで
き、目的を達する事が出来るようになる。
不況に遭遇した時こそ、正確に自分の力を見極める事が重要で、捉われず、偏らず、こだわらず、あくまでも素直な心で、これを行わなければならないと強調しています。
いま、日本経済は長い不況の中で苦しみ喘いでいます。 一方でお隣の中国は、日の出の勢いで経済成長を果しています。 かつて日本が敗戦から立ち上がり大きな経済成長を果たした時のように、日本が世界第二位の経済大国になった時、おそらく社会全体が多いに湧き上がり、おたかも永遠にこの繁栄が続くのだと錯覚していたように思います。 そして、浮かれて足元を良く見ていなかった結果、今の混乱の社会を創り出したのではないでしょうか? 世界の歴史が示すように、繁栄した文化や国はいずれ滅びゆく運命にあるのかも知れません。 そうすると、お隣の繁栄を羨むことよりも、かつて繁栄を経験した先輩として、その結果を十分に反省し次世代へ向けたアジアのリーダーとしての役割が、日本にはあるのではないでしょうか。 ゆえに松下幸之助氏が示す一員として何かしらの役割を果たす私たち一人ひとりの問題として、今こそ自己評価をしっかりしなければならないのではないかと思います。